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フードロスについて考える映画『0円キッチン』

2016.12.29 up
David Gross, Wam Kat, Biobauer Christian Heymann und die HelferInnen von Slow Food Youth nach der Gemüseernte nahe Berlin.
       

2016年も残すところ数えるばかり。今年をふりかえってみて、どんな食生活を送ってた?家のキッチンで食材が思いの外余ってしまって、もったいないと思いながら捨ててしまうのは、忙しすぎたせい?レシピさえ知っていれば、何とかなるのかな?

『0円キッチン』はオーストリアのジャーナリストであり、ドキュメンタリー映画監督のダーヴィド・グロス監督が、植物油で走れるように改造した車に、ゴミ箱で作ったキッチンを取り付け、オーストリア、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランスを巡り、スーパーマーケットのゴミ箱や一般家庭の冷蔵庫、規格外の野菜のある畑、混獲魚の出る漁などから救出した「0円」の食材を見つけ、ユニークでおいしい、クリエイティブな取り組みをする人々を紹介してくれるロードムービー。

紹介されるのは廃棄されるものだけではなく、身近にあるけれども見落としがちな食の存在も。日本でも利用できたら楽しいなと思うのは、ベルリンの街中で食べられる野生の果実を探すときに使っていた「ドイツ全土で1万件もの自生している野生食料に関する情報が集められている」というインタラクティブ・マップ。
さらにオランダの小学校では昆虫料理のパイオニア、マリオン・ペータースと一緒に子供たちと、昆虫レシピを試食!コペンハーゲンのレストラン「ノーマ」もアリを食材として利用していて、『ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』でも驚かされたが、ヨーロッパでは今、人口増加に伴う食糧の不足に備え、かつ栄養価の高い昆虫食がこれからの食材として研究を進めているようだ。

食べるものが有り余っているのを日々目にする中で、実は世界で生産されている食料の3分の1、13億トンが毎年廃棄されている。その調査研究報告が国際連合食糧農業機関(FAO)発行の「Global Food Losses and Food Waste(日本語版は 国際農林業協働協会翻訳による『世界の食料ロスと食料廃棄』)」によって2011年に発表されて以来、世界でいろいろな取り組みが進められている。フランスで今年2月、大型スーパーの売れ残りの食料の廃棄を禁じ、慈善団体への寄付を義務付けた食料廃棄禁止法が成立したというニュースを思い出す人も多いかもしれない。食料の6割を輸入に頼っている、つまりフードマイレージとしてのロスも大きいとも言える日本の食品ロスは年間632万トン(農林水産省及び環境省「平成25年度推計」)、そのうち半数は家庭から出ているもの。その一方で、6人に1人は貧困ラインを下回る生活状況にあり、日本でもフードバンク団体がその架け橋を担っている。毎日の食を考えることは、温暖化やエネルギーを含めた環境問題まで含めて、私たちの健康で、安心、安全な暮らしと地球全体のあり方の未来につながっている。

webDICE」に掲載されているダーヴィド・グロス監督のインタビュー「誰もがフードロスに対する“食材救出人”になりうるのです」で印象的なのは、「これはゴミではない」という人生哲学とともに、その思想の背景には日本の道元が禅の食事の心得について著した『典座教訓』の影響があると語っているところ。1月12日には東京広尾で食を切り口に日本の地域と世界の国々の“外交”を行う天現寺大使館にて、来日予定の監督との持ち寄り食材実験教室も開催されるそう!来日記念イベントによって、日本のフードロスのこれからを監督と一緒に考えたり、何かポジティブなきっかけにつながるように監督の来日招聘と映画『0円キッチン』を幅広く届けるための配給費用の一部のサポートを、クラウドファンディングにて絶賛募集中(2017年1月6日23:59まで)!

2017年、人にも地球にも優しい、ポジティブなアクションが一人一人に広がりますように。



監督:ダーヴィド・グロス、ゲオルク・ミッシュ
脚本:ダーヴィド・グロス
撮影監督:ダニエル・サメール
編集:マレク・クラロフスキー
音楽:ジム・ハワード
制作:ミスチフ・フィルムズ
制作協力:SWR/ARTE、ORF プロデューサー:ラルフ・ヴィザー
原題:WASTECOOKING
配給:ユナイテッドピープル
2015 年/オーストリア/81 分

公式サイト:http://unitedpeople.jp/wastecooking/



2017 年 1 月 21 日(土)より渋谷アップリンク他全国順次公開



『0円キッチン』© Mischief Films

POSTED BY
Junko HONMA
Junko HONMA / Movie Journalist
「クリエイターとのダイアローグからそのさきへ。そんな“場”をつくっていけたら。」
2012年より映画の上映会や配信の運営、PR、TVドキュメンタリーの制作の現場を経て、“ことばで伝える”ことに立ち返り、表現を取り巻く状況が大きく変わりゆく時代の中で国内外で“領域”を越えて、新たな取り組みに挑戦しつづけるクリエイターのいまをお伝えします。本サイト「theatre tokyo/ creators park スペシャルインタビュー」ほか、ウェブマガジン『HYPEBEAST.JP』ではライフスタイル、カルチャーの翻訳を担当中。大阪の制作、エキストラで初参加させていただいた、リム・カーワイ監督作品『Fly Me to Minami~恋するミナミ~』DVD/iTunes配信も絶賛発売中!!