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麻薬戦争、それでも、生きる フィリピン映画『ローサは密告された』

2017.07.27 up
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商業映画のプロダクション・デザイナーからそのキャリアをスタートし、広告業界へ転身し、CMを手がけていたフィリピンのブリランテ・メンドーサ監督が、『マニラ・デイドリーム』でインディペンデント映画監督としてデビューしたのが2005年、45歳の時。以降、世界三大映画祭のコンペティションの常連として活躍し、また、映画製作・配給会社であるソーラー・エンタテイメントのCEOウィルソン・ティエン氏の協力を得て、フィリピン国内の若い世代のフィルムメーカーをサポートするシナグ・マニラ・フィルム・フェスティバルを2015年より主催しており、監督として、エグゼクティブ・プロデューサーとしてフィリピン映画界の第3黄金期を牽引しているそれらの作品群は、2015年の第28回東京国際映画祭「CROSSCUT ASIA」部門で、フィリピン映画特集として上映された。昨年、国際交流基金アジアセンターx東京国際映画祭の共同製作によるアジア・オムニバス映画製作シリーズの記念すべき第1作『アジア三面鏡2016: リフレクションズ』には、日本の行定勲監督、カンボジアのソト・クォーリーカー監督とともに参加し、プレミア上映後のQAで「(3作品で)聴こえてくる言語は違うが、私たちは同じ人間を観ている」と語ったメンドーサ監督の言葉は非常に印象的で、「作品毎にワンイシュー」と、日本で働いている、あるいは働いたことのあるフィリピン人に取材したというその作品『SHINIUMA Dead Horse(死に馬)』は、北海道・帯広のばんえい競馬の牧場で働く不法滞在のフィリピン人労働者とフィリピンに残してきた家族との関係を描き、切れ味の鋭い後味を残した。

新作『ローサは密告された』で題材としたのは、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領が”全力”で撲滅にあたるほどフィリピン社会に蔓延している麻薬・薬物犯罪と、警察、その中で日々を生きる家族だ。
フィリピンの首都マニラ。大型のスーパーマーケットで手に持ちきれないほどの仕入れをして、タクシーに乗り込むローサ(ジャクリン・ホセ)と次男。土砂降りの雨なのに、タクシーはローサの店の前までは行かない。カラオケをしていたり、賭けトランプに興じている通りの一角にあるローサの雑貨店。住居が一体となった店先では、キャンディやタバコに加え、麻薬も取り扱っている。密告によって、夫のネストール(フリオ・ディアス)とともに逮捕されたローサは、腐敗した警察官から高額の金を要求されてしまう…。
Tシャツ、ハーフパンツ姿でマニラのストリート、警察署内を足早に歩く気魄に満ちたローサの動きをカメラは臨場感ある速度で映し、自分もいつしか、同じ空間に実際にいるのではないかという感覚で映画の中に取り込まれている。4人の子供の肝っ玉母さんローサを演じ、第69回カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞したジャクリン・ホセをとにかく観てほしい。東南アジアのストリートならではのラストシーンは、もう圧巻です。



『ローサは密告された』

監督:ブリランテ・メンドーサ 
出演:ジャクリン・ホセ フリオ・ディアス 
フェリックス・ロコ アンディ・アイゲンマン ジョマリ・アンヘレス イナ・トゥアソン 
クリストファ・キング 
脚本:トロイ・エスピリトゥ 撮影:オデッセイ・フロレス 編集:ディエゴ・マルクス・ドブレス
製作デザイン:ダンテ・メンドーサ 美術:ハーレーイ・アルカシッド
音響:アルバート・マイケル・イディオマ 音楽:テレサ・バロソ
製作総指揮:ブリランテ・メンドーサ プロデューサー:ロレート・ラリー・カスティーリョ
日本語字幕:大西公子 字幕監修:澤田公伸
配給:ビターズ・エンド
2016 | フィリピン|110分 | 原題MA’ROSA

公式サイト:www.bitters.co.jp/rosa

7月29日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー!



■来場者プレゼント有り!
こちらの記事でも参照させて頂いている、ブリランテ・メンドーサ監督の特別インタビューを収録の第28回東京国際映画祭のフィリピン映画特集で配布された冊子「国際交流基金アジアセンターpresents CROSSCUT ASIA #02 熱風!フィリピン」がシアター・イメージフォーラムにて下記日程で各日先着50名にプレゼントとのことです!ぜひ、お見逃しなく!
7/29(土)、30(日)、8/5(土)、6(日)、11(金・祝)

詳細は公式SNSページにてご確認ください。
https://www.facebook.com/marosa2017/

■ブリランテ・メンドーサ監督参加のオムニバス作品上映!
東京・六本木の森美術館、国立新美術館で大好評開催中の東南アジアの1980年以降のダイナミックで多様な現代美術を紹介する「サンシャワー」展の関連プログラムとして、上記に記載した『アジア三面鏡2016: リフレクションズ』『SHINIUMA Dead Horse(死に馬)』を含め、ブリランテ・メンドーサ監督参加のオムニバス作品の上映も開催される。こちらも、合わせてお見逃しなく!

FUN! FUN! ASIAN CINEMA @サンシャワー
「オムニバスの日」
日時:2017年8月12日(土)
会場:国立新美術館 3階講堂
主催:国際交流基金アジアセンター、国立新美術館

15:30~ (開場15:10)
『Art Through Our Eyes』
2016年|シンガポール|30分|デジタル上映|日本語字幕
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン、ブリランテ・メンドーサ、エリック・クー、ホー・ユーハン、ジョコ・アンワル

17:30~ (開場17:10)
『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』
2016年|日本|118分|Blu-ray上映|日本語・英語字幕
監督:ブリランテ・メンドーサ、行定勲、ソト・クォーリーカー

http://sunshower2017.jp/programs.html#ffac 


『ローサは密告された』© Sari-Sari Store 2016
POSTED BY
Junko HONMA
Junko HONMA / Movie Journalist
「クリエイターとのダイアローグからそのさきへ。そんな“場”をつくっていけたら。」
2012年より映画の上映会や配信の運営、PR、TVドキュメンタリーの制作の現場を経て、“ことばで伝える”ことに立ち返り、表現を取り巻く状況が大きく変わりゆく時代の中で国内外で“領域”を越えて、新たな取り組みに挑戦しつづけるクリエイターのいまをお伝えします。本サイト「theatre tokyo/ creators park スペシャルインタビュー」ほか、ウェブマガジン『HYPEBEAST.JP』ではライフスタイル、カルチャーの翻訳を担当中。大阪の制作、エキストラで初参加させていただいた、リム・カーワイ監督作品『Fly Me to Minami~恋するミナミ~』DVD/iTunes配信も絶賛発売中!!