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FUN! FUN! ASIAN CINEMA@サンシャワー オムニバスの日:『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』

2017.08.11 up
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ASEAN(東南アジア諸国連合)設立50周年を記念して、東京・六本木にある国立新美術館、森美術館の2館で7月より同時開催されている、ASEAN10カ国86組のアーティストの作品で見所満載の「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」。「天気雨」を意味するタイトル「サンシャワー」の下、日々交流の深まっている中でなお、なかなか捉えきれていない、東南アジア各国の現代史と目まぐるしい経済発展や都市開発の中で、日々ダイナミックに変容し続けている土地、人々、文化のあり様をアーティストやキュレーターの取り組みや作品から触れることのできる絶好の機会となっている。経済効率や目の前にある制約が最優先される昨今の風潮の中で、メディアを持ちうる他の誰もが踏み込まないフロントラインで、アーティストが真っ先にコミュニティとの関わりを深めたり、新たに築き始めることで、その土地について、人々について自らの方法論で発信をしている、そんな印象を強く持った。

東南アジアと日本の関わりについて、もっと観たい!という方にオススメの関連プログラムはこちら。国立新美術館を会場に、8月10日(木)から8月13日(日)まで開催中の「FUN! FUN! ASIAN CINEMA@サンシャワー」では、ドキュメンタリーからアクション、青春、恋愛と4日間にわたって東南アジアに関する映画が各日1ジャンルで上映されている。その中で8月12日(土)「オムニバスの日」に上映される『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて、東京国際映画祭と国際交流基金アジアセンターの連携事業の一環として、「アジアで共に生きる」というテーマのもとで、日本を含むアジアの監督3名がオムニバスを製作するというプロジェクトの第一弾。ブリランテ・メンドーサ監督(フィリピン)、ソト・クォーリーカー監督(カンボジア)、行定勲監督(日本)を迎えた本作は、昨年の第29回東京国際映画祭でワールド・プレミア上映され、今年3月のカンボジア国際映画祭、シナグ・マニラ映画祭、4月にはマレーシアと各国でのプレミア上映を終えて、この8月、再び東京で上映される。

第29回東京国際映画祭中に開催されていた、3名の監督によるシンポジウムでは、ホスト国の監督として行定監督は、この企画の始まりに「ベテランのメンドーサ監督と若手で新進気鋭のクォーリーカー監督とどのようにつながっていくんだろう」という時に、「信頼」ということを念頭に、「何かでつながりたいという思いと信頼というのが国と国の間にある」と『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』で感じたという。それぞれ孤独で愛を必要としている様が3作品を通して描かれている中で、「鳩」はそういった象徴で「信じる」ということ、そして「希望」という前向きな気持ちで映画にしたと語っている。
ローサは密告された』が現在、日本で大好評公開中のメンドーサ監督は、2015年に日本で働いていたフィリピン人やかつて働いていて今は帰国した人々に取材し、『SHINIUMA Dead Horse(死に馬)』で、長く故郷を離れ、極寒の北海道・帯広のばんえい競馬の牧場で働く不法滞在者のフィリピン人男性マーシャル(ルー・ヴェローソ)の本国への帰郷を描いた。
「太平洋戦争中にマレー海戦で祖父の2人の兄が亡くなっており、遺骨は帰ってこなかった」という行定監督は、祖父の「マレーシアに行きたい」という亡くなる間際の言葉から、マレーシアを舞台に選び、『鳩 Pigeon』で、ペナン島で鳩を飼いながら暮らす老人・田中道三郎(津川雅彦)と日本から月イチで訪問する息子・田中雅夫(永瀬正敏)との確執、マレーシア人介護ヘルパー・ヤスミン(シャリファ・アマニ)とのふれあいを描いた。同シンポジウムで行定監督は「ヤスミン・アフマド監督の特集上映を東京国際映画祭で観て、すごく好きになって。マレーシアという国の文化、情緒を知るきっかけとなっている。『細い目』という素晴らしい作品の主人公を演じているシャリファ・アマニを通して、ヤスミン監督のDNAが僕の映画に流れて込んでいるよう」と敬愛するヤスミン監督へのオマージュを語っている。
デビュー作『シアター・プノンペン』が昨年日本で劇場公開されたクォーリーカー監督は、カンボジアの首都プノンペンを流れるトンレサープ川の対岸チュロイチョンワーに架かるカンボジア・日本友好橋(日本橋)の建設を軸に、東京でリサーチした記録映像も交え、内戦前の建設と内戦で爆破された橋の和平後の再建に携わった日本人・福田(加藤雅也)とカンボジア人女性ミリア(チュムヴァン・ソダチヴィー)とのラブストーリーを描いた『Beyond The Bridge』。クォーリーカー監督が同シンポジウムで語ったように家族の中で、社会の中で監督自身も葛藤してきた、歴史上の多くのトラウマの癒しのプロセスとして、壊れてしまったもの、苦しんで来たものを葬り去らなくてもいいのだと、カンボジアの人々に紹介したかったという日本の「金繕い」も、物理的に人々をつなぐ、過去と現在をつなぐ橋の存在とともに、もう一つの重要なモチーフとなっている。

フィリピン、マレーシア、カンボジア、日本の双方の監督、スタッフ、キャストにとっても、予想以上にこれからの映画の可能性につながる機会となりそうなエピソードの数々が昨年の東京国際映画祭で語られたことから、今年10月25日(水)~11月3日(金・祝)まで開催予定の第30回東京国際映画祭にて詳細が発表される予定の「国際交流基金アジアセンター×東京国際映画祭 co-produce アジア・オムニバス映画製作シリーズ「アジア三面鏡」」第2弾にも、新たな期待が募る。



FUN! FUN! ASIAN CINEMA@サンシャワー
「オムニバスの日」
日程:2017年8月12日(土)
会場:国立新美術館 3階講堂
参加費:無料(ただし、国立新美術館の本展覧会チケット[半券可]が必要です。)
主催:国際交流基金アジアセンター、国立新美術館

本プログラムに関するWebページ
http://sunshower2017.jp/programs.html#ffac

13:00~ (開場12:40)
『セブンレターズ』
2015年|シンガポール、マレーシア|116分|デジタル上映|日本語・英語字幕
監督:エリック・クー、ブー・ジュンフェン、ジャック・ネオ、ケルビン・トング、K.ラジャゴパル、タン・ピンピン、ロイストン・タン
字幕協力:ショートショートフィルムフェスティバル&アジア

15:30~ (開場15:10)
『Art Through Our Eyes』
2016年|シンガポール|30分|デジタル上映|日本語字幕
監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン、ブリランテ・メンドーサ、エリック・クー、ホー・ユーハン、ジョコ・アンワル
※上映後トークがあります。


17:30~ (開場17:10)
『アジア三面鏡2016:リフレクションズ』
2016年|日本|118分|Blu-ray上映|日本語・英語字幕
監督:ブリランテ・メンドーサ、行定勲、ソト・クォーリーカー
© 2016 The Japan Foundation,All Rights Reserved

『アジア三面鏡』公式サイト
http://asian3mirror.jfac.jp/ja/

POSTED BY
Junko HONMA
Junko HONMA / Movie Journalist
「クリエイターとのダイアローグからそのさきへ。そんな“場”をつくっていけたら。」
2012年より映画の上映会や配信の運営、PR、TVドキュメンタリーの制作の現場を経て、“ことばで伝える”ことに立ち返り、表現を取り巻く状況が大きく変わりゆく時代の中で国内外で“領域”を越えて、新たな取り組みに挑戦しつづけるクリエイターのいまをお伝えします。本サイト「theatre tokyo/ creators park スペシャルインタビュー」ほか、ウェブマガジン『HYPEBEAST.JP』ではライフスタイル、カルチャーの翻訳を担当中。大阪の制作、エキストラで初参加させていただいた、リム・カーワイ監督作品『Fly Me to Minami~恋するミナミ~』DVD/iTunes配信も絶賛発売中!!